護衛艦「くらま」撮影集
護衛艦「くらま」は1981年に「しらね」型2番艦として竣役した36年間現役の古参艦である。「しらね」は昨年の3月に除籍し「くらま」も来年の3月に役目を終える。
「しらね」型は旗艦の設備が充実しており司令の使う「司令公室」や幕僚が仕事に使う「幕僚事務室」が専用に作られている艦である。
「くらま」もとい「しらね」型の特徴はこの2基の主砲の砲塔だ。
この主砲はアメリカ製の5インチ砲であるMk42の海自向けモデルの73式54口径5インチ速射砲である。
「くらま」の艦橋前にある箱状の装備はアスロック対潜ミサイルの発射装置だ。8連装つまり8発の対潜水艦ミサイルが発射できる。
現在では艦の船体に内蔵する垂直発射装置(VLS)に代わっている。
個人的には「はるな」と「しらね」型のこの平たく垂直な艦橋がかっこよくて好きだ。
「くらま」のもう一つ特徴である艦後部の格納庫とヘリコプター甲板
むしろこの部分が「くらま」もとい「しらね」型の胆となっている部分だ。対潜哨戒ヘリコプター3機を運用できるヘリコプター搭載護衛艦として「しらね」型は作られた。この為に艦後部に長いヘリコプター甲板が設けられている。
旧海軍の航空戦艦「伊勢」や航空巡洋艦「最上」のようなスタイルは海上自衛隊が本当はヘリコプター搭載空母の保有を望んでいたのが取りやめになり「はるな」型や「しらね」型のような大型格納庫と長いヘリコプター甲板を持つ戦闘艦となった。
「くらま」のヘリコプター甲板にあるSH-60J対潜哨戒ヘリコプター
このヘリに潜水艦を探知する磁気探知機があり空中からでも海中の潜水艦を探知できる。そんなヘリを「くらま」は3機乗せられるのだ。
海自は護衛艦8隻と8機の対潜哨戒ヘリで1つの艦隊を組む88艦隊構想を考えていた。3機の対潜哨戒ヘリが搭載できる「はるな」型と「しらね」型の配備で実現された。
「くらま」のヘリコプター甲板にあるヘリの発着を誘導する発着艦指揮所
「しらね」型や「はるな」型に幻となった昭和のヘリ空母案は対潜哨戒ヘリを運用し空から敵潜水艦を制するのが目的に作られた。この運用思想を受け継ぐ形で「ひゅうが」型や「いずも」型の全通飛行甲板のヘリ搭載護衛艦が作られ代替わりとなったのだ。
「くらま」後部にある黄色いモノは曳航式のソナーである。艦から発する音から離れた場所での音響探知を目的とした装備である。
「くらま」の対空装備であるCIWS20ミリ機関砲、「くらま」には2基搭載されている。今では海自護衛艦では広く装備されたCIWSを初めて搭載したのが「くらま」である。
見学者と比較して「くらま」がいかに大きいか分かる。
「くらま」は全長159mで基準排水量5200tの大きさがある。