マサカズ雑記帳

ミリタリーやアニメなどについて思った事や行った所について書いていきます。

ゴジラ襲来!その時どう迎え撃つ?中編

イメージ 1


自衛隊へ防衛出動決定
 政府はこのまま災害派遣では事態が間に合わないと思い始める。ましてや関東地方の人口密集地域でゴジラとの戦闘に住民避難など戦争に近い非常事態が発生するのだ。
 まだ一部の慎重論があったが政府は自衛隊の防衛出動を決定し国民保護法による住民の避難や武力攻撃事態法による関係する省庁や指定公共機関に指定された民間企業が非常時の態勢に入る。
 まず避難は神奈川県と千葉県の沿岸部から始まったが万単位の避難は最初から滞り混乱した。それでも避難地域に東京都の沿岸部も加わり混乱が広がる。
 そんな中で自衛隊は関東地方に部隊を展開する。
 陸自の東部方面総監を指揮官とする関東地方でゴジラを迎撃する統合任務部隊が編成された。指揮下に陸自は東部方面隊を中心に中部方面隊と東北方面隊からの増援部隊に中央即応集団の一部や防衛大臣直轄部隊である富士教導団が加わる。
 空自は爆撃能力があるF-2とF-4EJ改の飛行隊を百里と三沢に集結させた。近接航空支援に適した位置に入間基地があるものの輸送機と救難部隊の基地であるから爆弾の補充が難しい。事前集積の時間も無かった。
 だが問題は海自であった。神奈川県の横須賀基地を母港とする第1護衛隊と第6護衛隊は小笠原諸島の海域から急いで戻っているが間に合わない。
 他の護衛隊なども同じだ。横須賀基地には第11護衛隊の「やまぎり」と「ゆうぎり」に第2潜水隊群の潜水艦が数隻あるだけだ。
 それでも海自と統合任務部隊指揮官はあるだけの戦力で相模湾浦賀水道ゴジラ進入を迎え撃とうと考えていた。

集団的自衛権発動か!?
 アメリカ政府が日本政府へゴジラ撃退に協力できると申し出てきたのだ。
 日本政府は迷う。相手はゴジラである。米軍が助けに来るのは正直ありがたい。
 防衛省の大臣も官僚も自衛隊の幕僚長達も米軍の援軍を歓迎していた。
 だが防衛出動を出した後では日米安保条約を発動しての完全な日米共同の軍事行動となる。つまり集団的自衛権の行使になる。
 政府の憲法解釈を以前より変えて集団的自衛権行使が容認されたとはいえこれまで集団的自衛権を行使した事がないだけに後々の追及が億劫になる。
 だが目の前の危機は政治家の憂鬱を無視すべきところに来ている。日本政府はアメリカ政府の申し出を受け日米安保条約を発動し日米共同のゴジラ迎撃作戦を展開する事となる。
 日米が共同して作戦を行う場合は調整所と呼ばれる双方の部隊運用や作戦についての調整が行われる。なので日米のどちらかが指揮下に入ると言うものではなく相互援助と言う形で作戦を展開していくようになる。
 「あの巨大な未知の生物は日本国民のみならず日本に暮らすアメリカ人の脅威になると判断し軍事面での協力をしているに過ぎない」
 ワシントンのホワイトハウスでは広報官がこう簡潔に述べた。
 「米軍と自衛隊の共同行動はゴジラの脅威が予想を大きく上回るものであり、早急な事態の収拾にとって必要であると判断しての事です」
 東京の総理官邸では内閣官房長官が読み難い政府見解で日米安保発動による日米共同行動について記者達の前で述べていた。
 米軍は日本政府が日米安保条約発動を決める前から動いていた。
 在韓米軍からM1A2戦車の1個小隊に米本土からストライカー装甲車の自走砲型であるストライカーMGSの1個中隊にMLRSの小型版よ呼ばれる多連装ロケット砲HIMARSの1個小隊に在日米軍の第3海兵師団から155ミリ榴弾砲1個大隊が輸送機のC-5やCー17を総動員して運ばれた。
 この米軍地上部隊は横田基地に集結し自衛隊との調整が済み次第作戦地域へ向かう予定だ。
 また空母「ロナルドレーガン」もゴジラが発見された直後から横須賀を出港し千葉県沖の太平洋に駆逐艦4隻と巡洋艦1隻で展開していた。
 航空戦力では在日米軍三沢基地にある空軍のF-16と岩国基地にある海兵隊のF/Aー18とAV-8Ⅱハリアーや沖縄から移動して来たAH-1W攻撃ヘリに在韓米軍からF-16とA-10が三沢や横田に展開した。
 米軍は更に戦力を日本周辺へ移動させていた。アメリカからすると日米同盟強化の為であり日本周辺のロシアや中国に北朝鮮などへ日米同盟が機能していると見せる意味もある。
 何よりも米軍としても今後アメリカの脅威になるかもしれないゴジラについての実戦経験による調査も必要としていたからだ。

 米軍参戦による海の守りは相模湾が海自第11護衛隊で行い、浦賀水道は米軍第7艦隊の駆逐艦4隻と巡洋艦2隻にロサンゼルス級原潜「シカゴ」が展開した。
 自衛隊機によるゴジラへの断続的な爆撃は戦力の逐次投入であり効果が薄いとして中止していた。米軍と共同で一斉に火力をゴジラにぶつける作戦方針に変わり自衛隊と米軍はゴジラへ監視だけおこなっている。
 P-3CやP-8による監視に海自や米海軍・海保による艦艇のレーダーよりゴジラの動きは常に把握されていた。
 ゴジラの進行方向が浦賀水道へ向かうと分かると日米双方の指揮官は浦賀水道での迎撃作戦をまず行うと決めた。
 ゴジラ浦賀水道に入ると横須賀沖に展開する米水上部隊と浦賀水道の南側に展開した海自艦隊が対艦ミサイルを発射してゴジラへ攻撃を開始する。
 日米の潜水艦も海中から魚雷をゴジラへ放つ。
 また横須賀に近い陸自久里浜駐屯地と武山駐屯地では富士教導団と第10師団の野戦特科(砲兵)が155ミリ榴弾砲や203ミリ自走榴弾砲などで射撃を行い浦賀水道ゴジラへ砲弾の雨を降らせる。
 海中と海上からミサイルと砲弾・魚雷を浴びるゴジラはその進みを鈍らせたが致命傷を受けている気配はない。
 海面に出ているゴジラの上半身は真っ直ぐ立ち弾雨の中を毅然と進んでいるようだった。
 「どんな体をしているんだ奴は!」
 集中砲火を受けながらも浦賀水道を通り抜けたゴジラを見て米軍指揮官はショックを受けた。

(続く)