ゴジラ襲来!その時どう迎え撃つ?中編
〇自衛隊へ防衛出動決定
まだ一部の慎重論があったが政府は自衛隊の防衛出動を決定し国民保護法による住民の避難や武力攻撃事態法による関係する省庁や指定公共機関に指定された民間企業が非常時の態勢に入る。
まず避難は神奈川県と千葉県の沿岸部から始まったが万単位の避難は最初から滞り混乱した。それでも避難地域に東京都の沿岸部も加わり混乱が広がる。
そんな中で自衛隊は関東地方に部隊を展開する。
陸自の東部方面総監を指揮官とする関東地方でゴジラを迎撃する統合任務部隊が編成された。指揮下に陸自は東部方面隊を中心に中部方面隊と東北方面隊からの増援部隊に中央即応集団の一部や防衛大臣直轄部隊である富士教導団が加わる。
空自は爆撃能力があるF-2とF-4EJ改の飛行隊を百里と三沢に集結させた。近接航空支援に適した位置に入間基地があるものの輸送機と救難部隊の基地であるから爆弾の補充が難しい。事前集積の時間も無かった。
他の護衛隊なども同じだ。横須賀基地には第11護衛隊の「やまぎり」と「ゆうぎり」に第2潜水隊群の潜水艦が数隻あるだけだ。
〇集団的自衛権発動か!?
日本政府は迷う。相手はゴジラである。米軍が助けに来るのは正直ありがたい。
日米が共同して作戦を行う場合は調整所と呼ばれる双方の部隊運用や作戦についての調整が行われる。なので日米のどちらかが指揮下に入ると言うものではなく相互援助と言う形で作戦を展開していくようになる。
「あの巨大な未知の生物は日本国民のみならず日本に暮らすアメリカ人の脅威になると判断し軍事面での協力をしているに過ぎない」
ワシントンのホワイトハウスでは広報官がこう簡潔に述べた。
米軍は日本政府が日米安保条約発動を決める前から動いていた。
在韓米軍からM1A2戦車の1個小隊に米本土からストライカー装甲車の自走砲型であるストライカーMGSの1個中隊にMLRSの小型版よ呼ばれる多連装ロケット砲HIMARSの1個小隊に在日米軍の第3海兵師団から155ミリ榴弾砲1個大隊が輸送機のC-5やCー17を総動員して運ばれた。
航空戦力では在日米軍三沢基地にある空軍のF-16と岩国基地にある海兵隊のF/Aー18とAV-8Ⅱハリアーや沖縄から移動して来たAH-1W攻撃ヘリに在韓米軍からF-16とA-10が三沢や横田に展開した。
P-3CやP-8による監視に海自や米海軍・海保による艦艇のレーダーよりゴジラの動きは常に把握されていた。
日米の潜水艦も海中から魚雷をゴジラへ放つ。
海面に出ているゴジラの上半身は真っ直ぐ立ち弾雨の中を毅然と進んでいるようだった。
「どんな体をしているんだ奴は!」
(続く)