マサカズ雑記帳

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トランプ大統領で安全保障は変わるか?

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 第45代アメリカ大統領にドナルド・トランプ氏が就任する。
 選挙戦においてトランプ氏は安全保障問題において個性的な意見を述べている。在日米軍の駐留経費を日本が全額負担、日本や韓国の核武装を容認するような発言など。世界最大の軍隊と強大な諜報機関があるアメリカの指導者にトランプ氏が就任して果たして安全保障環境の変化は起きるのだろうか?
 
〇トランプ発言が実行されたら…


 トランプ氏は選挙戦において日本など米軍が駐留している国が駐留経費負担を負担すべきだと述べた。
 日本は在日米軍駐留経費予算、いわゆる思いやり予算で2000億円規模を拠出している。日本からすれば既にお金を出しているのにと言う思いもある。だがトランプ氏が費用に見合わないとも言及して在日米軍駐留の見直しでも考えているような発言もしている。
 トランプが選挙戦の公言をそのまま実行するとしたら日本が思いやり予算増額をしない場合は在日米軍の撤退または縮小となるかもしれない。その代わりに日本の核武装を容認し日本の自主防衛力を向上させるように勧めるかもしれない。
 軍備の近代化を進め核兵器を有する中国と尖閣諸島の領有権争を争い、核兵器弾道ミサイルの開発を進める北朝鮮の脅威に対峙する日本にとっては自衛隊の戦力だけでは心許ない。中国と同じ核兵器を持つ軍事大国アメリカの抑止力は無くてはならない。
 だが日本がアメリカから核兵器保有を容認され、むしろ勧められ保有した場合は日本の防衛力は向上するだろう。(だが北朝鮮核兵器開発の促進やイランの核兵器開発再開など核兵器の拡散や増強に拍車をかけるかもしれない)
 だが保有できたとしても唯一の被爆国と言う歴史が日本の世論や野党からの大きな非難を受け廃棄される可能性がある。在日米軍撤退の代わりに日本が核兵器を得てすぐ解体となれば東アジアに大きな力の空白を生じかねない。在韓米軍も撤退となれば尚更だ。
 安倍総理は総理大臣補佐官を派遣し日米同盟の大事さをトランプ氏にアピールするのはトランプ発言が本気だった場合が日本にとって悪夢に他らないからだ。
 
トランプ大統領は戦争指導せざる得ない
 
 オバマ大統領はイラクとアフガンからの米軍撤退を掲げシリアのアサド政権攻撃を寸前で中止をしたりするなど軍事力を誇示するアメリカを否定する政策を行った。それは「アメリカはもう世界の警察ではない」とする発言からも明らかである。
 だがそんなオバマ大統領も2011年のカダフィ政権のリビア攻撃する英仏を中心とした有志連合の作戦に米軍を参加させ、同じ年にはアルカイダの指導者だったとされるビンラディン容疑者を暗殺する特殊部隊の作戦を実行したりと戦争指導をせざる得ない局面が生じた。
 何よりオバマが公約したイラクからの撤退でイラクとシリアに過激派イスラム国(IS)が誕生する力の空白を作ってしまい現在も続くISとの戦いに介入しなければならない状況になっている。また撤退予定のアフガンもタリバン残党がまだ戦いを続けておりISも勢力を広げたりと予断を許さす撤退できなくなっている。
 テロ組織のみならず南沙諸島の領有化など海洋進出をする中国とウクライナの紛争が終息せず欧米との対立が続くロシアと言った国家間の軍事的な緊張もオバマ大統領に軍事的な選択を強いている。
 オバマ政権では対中国では南沙諸島駆逐艦など艦艇を航行させる「航行の自由作戦」を展開し中国の南沙諸島領有化に対抗している。対ロシアでは東欧に戦闘部隊を派遣しルーマニアにイージス・アショアと言うイージス艦のシステムを地上に設置したシステムを建設するなどロシアへの軍事的圧力を高めている。
 トランプはISタリバンアルカイダなどとの対テロ戦争と中国やロシアとの国家間の軍事対立と言う懸案をオバマから引き継ぐ事となる。
 トランプはISについては打倒すべきと述べている。トランプがどの程度中東の安定を考慮しているのか不明だがIS打倒はアメリカ国内でISに共鳴するテロを防ぐ意味でも実行する意義を見出しているのかもしれない。
 だが他のテロ組織にしてもアメリカ大使館や領事館を攻撃されたりアメリカ人が誘拐されたりと事件を起こすだろう。トランプ政権は在外のアメリカ関係施設やアメリカ国民が直面する危機に立ち向かわざるえない。
 問題としてはトランプが軍事にどれだけ理解があり安全保障のスタッフにどれだけ良い人材が揃えられるかだ。
 
トランプ大統領でも大丈夫かもしれない


 対国家間ではロシアに関してはEUと対ロシア経済制裁をしている関係上抜け駆けでアメリカだけ経済制裁解除は難しいだろう。またそれはイランとの核合意反対と言う公言に反する。
 イランとで核兵器開発の縮小の見返りに経済制裁を緩和する合意をしている。アメリカ議会がより大きな制裁解除に反対してはいるがイランとの核合意にトランプが反対している以上はロシアへの経済制裁解除をアメリカ独自で行う道理が見当たらない。
 なによりイランの核合意はロシアも協議に参加しロシアがイランへ合意するよう働きかけたのである。イランとの核合意の撤回や反故はロシアとの対立を深める遠因になりかねない。
 ロシアとの融和や制裁解除と言う行動は早々に行うものではないだろう。
 中国に対してトランプは選挙戦で中国が雇用を奪っていると敵視するような発言をしている。アメリカ経済の再建を掲げるトランプにとっては中国は敵対国と見ているようである。
そんなトランプ大統領での対中国の軍事姿勢は「航行の自由作戦」を継続して圧力を加え続ける事だろう。
 日本にとっては思いやり予算の問題が本気で無いのが確認できればトランプは対中国政策でパートナーになれるのではないだろうか。
 トランプ政権になりアメリカの対外軍事姿勢はそこまで変わらないだろう。むしろ戦力削減の傾向にあるアメリカ軍をトランプが経営者目線でどう手を加えるかが気になる部分である。予算の無駄としてより削るかアメリカ第一思想でアメリカの権益を守る投資として強化するか。
 軍人を経験せず政治家の経験も乏しい今までにないアメリカ軍の最高司令官の采配に目が離せなくなる。