マサカズ雑記帳

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トランプ政権はモンロー主義に?~そもそもモンロー主義とは~

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  (モンロー主義を提唱したアメリカ第5代大統領のジェームズ・モンロー
 
 アメリカの新しい大統領になるトランプ氏は対外政策でアメリカ第一主義孤立主義の方針を取るのではないかと日本の報道では言われている。
 けれどもトランプ氏は選挙戦と大統領選挙に勝った後でその言動を変えつつあるので孤立主義の政策方針になるのか現状ではますます分からない。
 だがアメリカは過去にモンロー主義と呼ばれる孤立主義の対外政策をしていた。実際のあったアメリカの孤立主義と呼ばれた主義はどんなものか?
 
モンロー主義とは?
 第5代アメリカ大統領のジェームズ・モンローは1823年に議会で「モンロー・ドクトリン」を提唱した。
 「モンロー・ドクトリン」とは何か?
・ヨーロッパ諸国の紛争に干渉しない
南北アメリカに現存する植民地や属領を承認し干渉しない
南北アメリカの植民地化をこれ以上望まない
・現在、独立に向けた動きがある旧スペイン領に対して干渉する事はアメリカの平和の脅威とみなす
 この内容を簡潔に述べると
「ヨーロッパ各国へアメリカから手を出さない。アメリカ大陸はアメリカ合衆国の縄張りなのでヨーロッパ各国はアメリカ大陸へこれ以上手を出すな」
と言う意味である
これはアメリカ大陸へヨーロッパの勢力が軍事的にも経済的にも伸びる事を警戒したものだ。モンロー主義アメリカと言う領域を保持する為のものと言える。
また他国と同盟せずヨーロッパなどアメリカから離れた戦争に巻き込まれまいとする意味もある。そこが孤立主義と言われる所以だがモンロー主義の大きな要素とは違う。
 
〇広くなるモンロー主義
 アメリカはモンロー主義を外交の基本姿勢とするが1846年から1848年にはアメリカはメキシコとの戦争である米墨戦争を行いメキシコの首都を占領するまで戦われた。1898年にはスペインとの戦争である米西戦争でスペイン領のキューバとフィリピンにアメリカ軍が攻め込み戦勝した事でキューバとフィリピンを植民地にした。米西戦争と同じ年にはハワイを併合もしている。
 モンロー主義が対外不干渉の方針と言うのはまさに誤解である。先にも述べた通りモンロー主義とはアメリカの領域を保持する為のものだ。つまりアメリカの領域を広げる事に関しては主義に反している訳ではない。むしろ戦争で勝ち取った領域を新たなモンロー主義の適用範囲に加えていく。


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米西戦争時に描かれた正義の戦争をしていると主張するアメリカを揶揄した絵である。この絵には戦争によって勢力を広げるアメリカの姿が描かれている)


〇門戸開放と日本の台頭
 20世紀になりアメリカは日本と対面する事を意識し始める。アメリカがペリー提督の艦隊を日本へ送り徳川幕府と通商条約を結んで開港させた時はアジアの小国扱いだった。だが明治維新から近代化と強国へと急成長した日本は清国とロシアとの戦争に勝利し欧米列強と並ぶ大国になった。
 日本が列強になった事でアジア太平洋地域におけるアメリカの領域と日本の領域が接するようになる。対日戦を意識した太平洋横断の実演も含んだ米海軍艦隊による「グレート・ホワイト・フリート」の世界一周(1907年)を行い威圧する。
 これは日本への警戒がある。それはアメリカの既存の領域ではなくアメリカが新たに市場として開拓したい中国大陸へ日本が進出しているからだ。つまり商売敵と言う意味がある。
 アメリカが大陸への市場へ進出しようと試みる門戸開放の動きを始める。これはモンロー主義が明確な領域から将来の経済圏へも伸びるようにもなったと言えるが1899年にジョン・ヘイ国務長官が「機会均等・門戸開放」を標榜する「ヘイ・ドクトリン」(オープンドア政策とも言われる)を提唱した影響が大きい。
 アメリカは太平洋へと進出し日本とその領域を接する事によりモンロー主義の縄張り意識とヘイ・ドクトリンによる開拓意識が大陸を巡る日米の対立を招くようになり太平洋戦争へと繋がる。 
 
 モンロー主義とはアメリカの利益を第一としたものであり、それはアメリカ一国のみならずアメリカの利益が及ぶ範囲も含めたアメリカの縄張りを守る、またはアメリカの利益を獲得する思想でもある。
 アメリカ第一主義と言われるトランプがアメリカの利益を守るとして採用しても不思議ではない。
 しかしそのモンロー主義アメリカの陣営または貿易相手と言う複数の国をまたぐ(または繋ぐ)縄張りを守る意味になるだろう。