北方領土に対艦ミサイルを置いたロシアの真意
(千島列島に配備されたとされる地対艦ミサイル「バスチオン」の発射装置)
来月にはロシアのプーチン大統領が訪日し山口県を訪れる。この時を機会に日本政府は北方領土返還を大きく進めたいところだ。だがロシアのメディアがロシア国防相の発表として北方領土の択捉島と国後島に新型対艦ミサイルを配備したと報じ北方領土が日本に返還されると期待する日本へ水を差すような報道となった。
ロシア軍が北方領土に配置しているは第18機関銃砲兵師団と言う部隊である。
装備は地対空ミサイル「トール」の最新型が配備され戦車がようやく旧式のT-55から2010年に最新型より少し古いT-80に替えたものの多くは米ソ冷戦の頃から変わらない古いものだ。
それは日本との領土問題がある地域とはいえ日本が軍事力での奪還する意思を持ってい無いのを知っているからです。日本国内で北方領土返還について世論でも外交交渉による選択肢で語られている。
では対艦ミサイルを配備したのはどんな意図があるのか?
それは日本に備えてと言う訳では無くロシアから見た極東地域と言う広い目で見る必要がある。
(本文での極東ロシアと日本の地理的な部分を表した地図)
カムチャッカ半島の基地は北太平洋に面しているがウラジオストクとソビエツカヤ・カバニはロシアから見ると日本列島・サハリン・千島列島(ロシアではクリル諸島と呼ぶ)が壁になっているように見える。サハリンと千島列島はロシア領だから問題は無い。ウラジオストクから艦隊を出港させ千島列島から太平洋へ至るルートが設定できる。
対艦ミサイルにより千島列島の海峡の通行権をロシアが握っている事を主張しているしロシア海軍の動向を探る為に接近する他国海軍の水上艦艇が近づくのを拒否する意味もあるだろう。
対艦ミサイルの配備は北方領土の領土的な主権を主張する意味もあるが大きな意味は航路を保持する部分が大きい。
対艦ミサイルの配備が太平洋への軍事的な海路保持にあると書いたが同時に千島列島の西側にあるオホーツク海がロシア海軍の聖域であり日本の望み通り北方四島返還となった場合はロシアから見れば聖域に隙間が空くようになる。
北方領土にロシア軍が対艦ミサイルを配備した事を返還に対する拒否だけと見るのはロシアの意図を理解し切れていないと言える。