アニメ「幼女戦記」第7話軍事考察(1)
ターニャ
「故に戦線を意図的に後退せしめ北方方面軍の兵站を軽減せしめ結果として春期以降の攻勢計画を容易たらしめると確信します」
第7話のAパート冒頭で北方方面軍の司令部での会議でターニャは北方方面軍の方針について冬季の持久戦を提案します。
その内容は兵站の負担が低い地域にまで前線を下げて冬を過ごしてから春に攻勢を行うと言うものだ。
積雪や吹雪など極寒の地域特有の気象で食料や弾薬を前線へ送る兵站の負担が大きくなる。鉄道でも自動車でも馬車でも凍った道や積雪で塞がった道に吹雪で視界が無いような道は補給部隊の足を鈍くさせます。
こうした補給がスムーズにできないのを分かっているので極寒の国で冬に打って出る作戦はすべきではないと言ったのです。
なのであえて冬は補給が受けやすい所まで帝国軍の前線を下げて冬越えをする。春になって雪の心配がない時に攻勢に出てるのが良いとターニャは提案したのです。
大雪が降って積もっている時に攻勢に出るのは良いとは言えません。
史実では第二次世界大戦でソ連軍がスターリングラードを攻めるドイツ軍に対しての大規模反撃に成功したパターンもあります。
これはドイツ軍などの枢軸軍が疲弊していた事や冬の気候にソ連軍が慣れている事が重なって成功したパターンです。スターリングラードで勝利した後にもソ連軍は冬季攻勢を続けましたがハリコフで補給不足になったところをドイツ軍に逆襲されている。
雪国の軍隊でも必ずしも冬に勝てず十分な補給態勢と補給路が繋げられる気象と地理条件が必要になります。
シュライゼ
「越冬を想定しているようだがこれ以上の長期戦は望ましくない。早期解決こそが当面の課題だ」
「少なくとも三週間の攻勢は可能だ。表面戦力を撃破すればよい」
ターニャの越冬してからの春季攻勢案に反対したのは北方方面軍参謀長であるハインリヒ・ツー・シュライゼ中将だ。
「長期戦は望ましくない」・「早期解決」と言い性急な意見を言います。
これは無謀な作戦案ではなく第7話のBパートで描かれる上陸作戦を極秘にしていた故の発言です。
なので「表面戦力を削ればよい」と言うのです。
表面戦力とは敵軍の前衛など前線に出る部隊を指すと思われる。敵軍の包囲殲滅や兵站にまで攻撃を伸ばす縦深的な作戦ではない事を意味しています。
陽動作戦なので敵を引き付ける事さえできれば良いとシュライゼは言っていたのですが上陸作戦について触れられないもどかしさがあったでしょう。
シュライゼを交えた会議の後でターニャはルーデンドルフとの問答で北方方面軍の攻勢が陽動作戦であるならばの前提を立ててから協商連合に打撃を与えるのであれば後方だと指摘し帝国軍の上陸作戦を偶然にも当てます。
Aパートでの会議と問答は作戦意図はどこにあるかで描かれたシーンなのです。