アニメ「幼女戦記」第7話軍事考察(2)
アンソン
「絶景だな。入り組んだ狭いフィヨルドに多くの岬と島々、岸壁も高く点在する20門の砲台でどこからでも狙える」
協商連合軍のアンソン・スー大佐が部下とオース・フィヨルドの防備について語るシーン
砲台が幾つもあり敵艦隊を近づけないと防備に自信があるようです。
確かにフィヨルドのような谷のような地形では艦船が航行できる海域が狭くなるのでフィヨルドに入り込んだ敵艦を砲台で狙い撃つのは簡単だ。
また「幼女戦記」で初の世界大戦となると、陸上の砲台と戦艦が撃ち合う戦いで戦艦が不利な時代だと思われる。
史実の第一次世界大戦では戦艦が陸上砲台に負けた例がある。
トルコのガルポリにイギリス軍を中心とした連合軍が上陸作戦を行った時に英仏の戦艦3隻が陸上砲台によって撃沈されている。
その3隻はダーダネルス海峡を航行中にトルコ軍の機雷によって動けなくなったところを撃たれての撃沈だった。
機雷で同じ日に戦艦3隻が引っかかり、砲台の射程に入ってしまうダーダネルス海峡の狭さがあってこそトルコ軍は戦艦3隻の戦果を挙げられました。
オース・フィヨルドはダーダネルス海峡と同じ効果を狙った防備になっていましたが空から縦横無尽に襲うターニャの航空魔導士大隊の攻撃によって無力化されてしまいます。
アンソン
「死んでくれとしか若者に言えない状況」
スー大佐は新兵達に戦って死ぬよう訓示する上官を見て言った台詞
その国の思想にもよりますが、やたらと自己犠牲を求める上官やスローガンに溢れた状況は追い込まれている状況ではあります。
もはや明確な勝利の目標が無く軍の士気が崩れるのを恐れている状況でもあります。
なので新兵の精神を鍛えるぐらいしか打つ手が無い協商連合軍の苦しい状況が分かる場面です。
ターニャ
「セレブリャーコフ少尉貴様も予備指揮官だ」
オース・フィヨルドに空挺降下する前に輸送機内でターニャがセレブリャーコフへ伝えた指示だ。
敵地のど真ん中にある砲台が点在するような要塞へ突入するターニャの大隊
万が一の作戦失敗は考えておくものです。予備指揮官は本来の指揮官が戦死または負傷で指揮ができない場合に指揮を継ぐ指揮官です。
一応は階級と役割により自然と指揮を代行するように軍隊の組織はできている。
隊長が倒れたら副隊長が指揮を代行すると言うようにです。
ターニャがセレブリャーコフへ言ったのは作戦の危険性から役割を再確認させる為だったと思います。
アンソン「頭を抑えろ!」
ターニャ「頭を抑えられるな!」
航空魔導士同士の空中戦を繰り広げるターニャとアンソン
お互いに敵と自分の頭上を気にしています。
これは敵の頭上を抑えた方が勝てると言う空中戦の基本があるからです。敵の頭上を抑える位置に居ると敵が逃げてもスピード差が無い限りは行く方向が見えやすいし攻撃も上から下へかけやすいです。
対して敵に頭上を抑えられた場合
逃げようとしたら高度の余裕を確認して急降下で逃げるか上昇して立ち向かうしかありません。
高度に余裕が無ければ敵の攻撃を横や縦の動きだけで回避するしかありません。スピードで圧倒してないと逃げ切る事は不可能です。
ターニャとアンソンの2人は優位な位置に行ったり、行かせないように攻防をしていたのです。