マサカズ雑記帳

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ロシア軍はクリル諸島にどんな師団を置くのか?

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国後島対日戦勝記念日にパレードするロシア軍兵士達)

ロシアのショイグ国防大臣は22日にクリル諸島(千島列島)に新しく師団を配備すると発表しました。

 日本政府は北方領土へその新しい師団を配備するのではと懸念を表明しました。

 まだどのような師団を千島列島のどこに配備するのか発表はまだありません。不明な点が多いロシア軍新師団配備について推測をしてみます。

 

北方領土にあるロシア軍師団

 現在の日本が北方領土と呼ぶ国後島択捉島歯舞諸島色丹島の四島がある地域にはロシア軍が展開しています。1978年に編成された第18機関銃・砲兵師団が国後島択捉島で守備に就いています。

 この機関銃・砲兵師団と言う名称は旧ソ連軍から現在のロシア軍でも使われている独特の呼び名だ。

 旧ソ連軍やロシア軍は歩兵師団にあたる師団で装甲車や自動車で部隊が動く自動車化狙撃兵師団があります。しかし機関銃・砲兵師団は歩兵(旧ソ連軍やロシア軍では歩兵を狙撃兵と呼ぶ)や戦車・砲兵など様々な兵科の部隊が集まる意味では他の師団と同じですが役割としては特定の地域を守る固定配置の守備隊です。

 第18機関銃・砲兵師団は択捉島国後島に貼り付いて守る任務を与えられている。

 第18機関銃・砲兵師団は師団とはいえ将兵の数は3500人と師団の規模としては小規模です。(師団は1万人以上である。しかし日本の陸上自衛隊は6000人から9000人なので一概には言えない)

 とはいえ3500人ものロシア軍が北方領土はロシア領だと主張するのに十分な価値がある。


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〇千島へ新たに配備される師団の役割とは?

 ロシア軍が千島列島(クリル諸島)へ置く新しい師団はどのような役割を持つ師団なのだろうか?

 ロシア軍の歩兵師団である自動車化狙撃兵師団である可能性は低いかもしれない。

 海に囲まれた島々では装甲車などの輸送車輌を幾ら持っていても他の島には行けないからだ。ただの地上部隊の場合は名称が自動車化狙撃兵師団の場合は機関銃・砲兵師団と変わりない師団であるかもしれない。

 ただし任務が千島列島の守備と他の地域へも展開する機動性を持ち合わせたものになるかもしれない。北方四島は日露で領土問題が生じているけれども軍事的な緊張感は高まっていない。日本が自衛隊を使って奪還作戦をするつもりが無いからだ。

 そうなるとあえて固定配置の守備に徹した師団を置くのは疑問がある。

 考えられるのはロシア版海兵隊と言える海軍歩兵の師団か空挺師団のような即応性の高い師団を配置する事だ。

 そうなると千島列島のどこかに輸送機や輸送艦の基地が必要になる。またオホーツク海と太平洋での海軍と空軍の戦力強化も必要となる。こうなった場合でロシア軍がオホーツク海を中心に太平洋へも出る意義があるのかの疑問がある。

 千島列島で仮に日本なりアメリカなりが攻めてくれば機動力を生かして千島防衛に役立つが即応部隊をただ千島列島防衛だけに使うのは無駄になる。

 他の地域への展開を考えると沿海地方と千島列島の間にあるサハリン(樺太)に即応部隊を置き千島と沿海地方どちらへも行ける態勢の方が合理的に思える。

 

〇ロシア軍の戦略とは?

 もう一つ考えられるのは第18機関銃・砲兵師団を実際の規模に沿って旅団へ改編し、新設の旅団を編成する。この2個旅団をまとめる新師団の可能性だ。

 ロシア軍にはそうした旅団を指揮下に置く編成の師団は無いが可能性の一つである。それか第18機関銃・砲兵師団を旅団化し、昨年択捉と国後に配備された地対艦ミサイル部隊をも指揮下に収めた師団と言う可能性がある。

 この前者と後者は北方四島防衛に徹する守備隊型の師団となる。

 結局のところ、師団と言う新しい戦略単位の配備はロシア軍が千島列島にどんな戦略を描いているかが一番の問題である。

 千島列島で軍事衝突が起きる懸念が無い現状ではもしかすると計画を言って北方領土返還を進めたい日本政府への牽制かもしれない。

 ロシアが千島列島でどうするのか?それが見えないとロシア軍が千島列島に新師団を置く意義が見えて来ない。