イラン新型ミサイルの成功が意味するものとは?
(イランの国営放送が流したホッラムシャッフルの発射実験の映像)
23日午後にイラン国営放送が新型弾道ミサイル「ホッラムシャフル」の発射実験の映像を放送して「ホッラムシャッフル」の実験は成功したと報じた。
北朝鮮の火星12型が注目される中で発射された「ホッラムシャッフル」発射成功の意味とは何か?
(シャハブ3が発射している様子)
〇イランの弾道ミサイル
更に射程200kmから250kmの短距離弾道ミサイル「ファテフ110」を作り、射程5000kmまたはアメリカ東海岸に届くシャハブの新型計画(本当にあるかは不明だが)があるなどイランは北朝鮮と並ぶ弾道ミサイルの開発に熱心な国である。
(今年2月の軍事パレードに登場したホッラムシャッフル)
○ホッラムシャッフルの衝撃の度合いは
今回イランが発射実験を行ったホッラムシャッフルの成功は何が衝撃的だったのか?
ホッラムシャッフルは今年2月のイラン革命記念日の軍事パレードで公開されており存在自体は知られていた。発射したと報じられたのは初めてである。
ホッラムシャッフルは射程が2000kmと言われている。
射程2000kmと言う数字はそこまでインパクトのあるものではない。
イランがより弾道ミサイルの戦力強化をしていると見るのが純軍事的な見方だが、欧米の受けた衝撃は外交的な部分だと思われる。
イランは2015年に欧米など6カ国と核開発を制限する合意を行った。
だがイランはホッラムシャッフルを発射して成功したと報じた。
ホッラムシャッフルの成功を欧米はイランが核開発を諦めていないと言う姿勢に見えたのだ。
つまりイランがいつか核合意を破る日が来ると思わせる衝撃があったのだ。
○イランを巡る火種
サウジとイランの軍拡からの湾岸地域の緊張が高まる恐れもある。
そうなると石油の輸入を湾岸諸国に頼る日本にも影響が出る。
またイランの弾道ミサイルを運用しているのが政府や国軍の指揮下には無い最高指導者が指揮下に置く革命防衛隊である。
イラン政府やイランの大統領が欧米に妥協しても最高指導者の意見が異なれば革命防衛隊が最高指導者の意志を受けて動く場合もある。
ミサイルの発射と政府の動きが噛み合わず外交での誤解を招く危険性もある。
イランのくすぶる火種は新型弾道ミサイルによって燃え上がる危険があるのだ。